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一言で五十肩と言ってもその痛みや治癒までの期間はかなり個人差があります。
軽症であれば特に治療をしなくても数週間から数か月で治癒し、重症では3年経過しても4割の方に痛みや可動域の制限が残っているといわれています。
状態としては肩関節のまわりを囲んでいる関節包という組織に炎症が起き、硬くなり肥厚することで痛みや可動域の制限が起きています。
原因
炎症が起きてしまう原因について正確には解明されていないようですが、
・小さな損傷がきっかけとなる
・繰り返しの機械的ストレス…繰り返し同じところに負担がかかっていると細胞の修復が間に合わず組織が変性してしまいます。(例えば、猫背のまま手を上に挙げる動きを繰り返していると、良い姿勢で腕を挙げるよりも肩の関節や筋腱に過剰に負担がかかってしまいます)
・細胞外マトリックスの変化…細胞外マトリックススといわれるコラーゲンなどの組織も常に作り変えられていますが、作り変えのバランスが崩れ線維化がおき拘縮してしまいます。
・慢性炎症…糖尿病などの疾患がある場合、一般人に比べ五十肩になりやすくなっています。
などが原因ではないかといわれています。
鑑別するべき疾患
腱板損傷(ご高齢の方の場合は特に注意)、インピンジメント症候群、(石灰沈着性腱板炎、肩峰下滑液包炎、上腕二頭筋長頭炎、これらは広い意味で四十肩に含まれる場合がありますが鑑別が必要です)、脳疾患、ヘルニアなど頸神経からくる痛みや筋力低下、神経痛性筋萎縮症、etc
病院での治療
病院では画像検査などにより診断がついたり、消炎鎮痛剤の処方、ステロイド注射、マニュピレーション、手術、各種物理療法、理学療法士によるリハビリ、等を行ってもらえます。
他自由診療(運動器カテーテルなど)のものも存在します。
鍼灸整体や運動療法による施術
炎症期(数週~9カ月)…
炎症期の症状が強く長いほど長引きやすいと感じています。夜間痛が酷いような炎症期には患部を無理に動かしたり患部のマッサージを行うことは避けるべきで、炎症を落ち着かせることを最優先にします。施術では患部に強い刺激は与えられませんので、痛みが出ないように注意しながら、低刺激での疼痛の抑制、なるべく患部に負担がかからないように周囲の筋肉や関節の調整をし、日常生活のアドバイスをさせていただくことが施術のメインになります。
腕を上に挙げるときに動かす関節は一般的に知られているいわゆる肩関節だけではありません(肩関節のみで挙げられる角度は95度)。
ですので他の関節(肩甲骨、鎖骨、脊柱)の状態を良くすることが出来れば腕を挙げやすくなります。
夜寝るときは仰向けで、患側の肩から上腕、肘の下にクッションなどを入れ、腕を少し下から支えるように、肩より肘が下がらないようにします。お腹にもクッションを置いてその上に手をのせてあげる(上腕が少し内捻じりになる方が痛みには良いです)と、関節内の圧力が下がり痛みが出にくいことが多いです。
横向きで寝る場合は大きめのクッションの上に痛い方の腕をのせてあげると良いです。
小さいクッションだと腕がかなり内側に曲げられ、内捻じりも強すぎる形となり、痛みや血流障害を起こします。
ただ痛い方を上にする横向きは、可能であれば長い期間は避けた方が良いです。
仰向けで眠れるようになったら仰向けに変えていく方が良いと感じます。
片腕が痛いと日常生活で反対の腕の負担は嫌でも増えていますし、下になっている腕は寝ている間にも負担を受けてしまいます。痛くなった方の肩が治ったころに反対の肩に症状が出る方も一定数いらっしゃいますので、反対側の腕のケアも普段から行うことが大切です。
拘縮期(炎症期後、腕が動かない状態、炎症期後4~12か月)…
炎症期が過ぎてからは患部も動かしていくようなセルフケアが大切ですが、痛いのに無理をして行ったり、何となく腕をぐるぐる回したりすると患部に負担をかけますのでやり方には注意が必要です。
鍼灸整体施術では、筋バランスを整え肩を動かすために関わる関節(主に胸鎖関節、肩鎖関節、肩甲上腕関節、第二肩関節、肩甲胸郭関節、胸椎椎間関節、肋骨(肋椎関節、胸肋関節))可動域の向上、癒着が起きている部分の滑走性を促す、筋力発揮出来ていない部分の賦活、身体の動きを改善させるようなアシスト、などを行い疼痛の抑制と可動域向上を目指します。
拘縮期は基本的に冷やさない方が良いですが、温めると痛みが増す場合もありますので注意が必要です。
回復期(5か月~2年)…
徐々に痛みも減ってきて可動域も元に戻ってくる時期です。
拘縮期と回復期にきちんとアプローチすることが大事で、その時期に痛みを与え過ぎないように、可動域を大きく出来るように、筋力低下させないように、負担を少なく、血流が良い状態で過ごすことが、症状の残存を防ぎ、早期に改善させる方法だと考えています。