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急性腰痛に鍼灸整体を効果的に行うタイミング
ぎっくり腰は発症した日から3日間(72時間)は症状悪化していくことが多くなっていますが、これは主に炎症の広がりによるものと考えられます。
一刻も早く治したいという気持ちは私もすごくよくわかりますが、施術は行うタイミングが大切です。
急性期(発症後72時間以内)で特に患部が熱く炎症が強い場合、動けないほどの痛みをこらえて来ていただいても劇的に良くなることはなかなかありませんし、鍼灸整体を行う優先順位は低いと考えています。
そういう場合はなるべく痛みを感じないようにお過ごしいただき、安静にして炎症を抑えることを最優先にし、セルフケア(後述)をしていただいて、炎症がひいてきたころから施術や運動療法を受けることをお勧めします。
※発症当日や2~3日目であっても、患部の熱感が強くない場合や、患部が冷えている場合は、その後の痛みの悪化を防げたり、痛みが改善することが多いですのでお越しください。
急性腰痛になる時
- 疲労が溜まっていた
- ストレス
- 寝不足
- 前かがみの姿勢になる時
- ヘルニアがある
- せきやくしゃみ
- 季節の変わり目
- 運動不足
- 腰痛がある
- 身体が冷えていた
- 着地などの強い負荷
- 重量物を持つ
急性腰痛の原因
なぜなるのかということはまだ科学な論拠がなく、原因部位としては主に筋肉や関節のことが多いですが、圧迫骨折やヘルニアなどの場合もありますので注意が必要です。
注意すべき腰痛(レッドフラッグサイン)
- 20歳以下や55歳以上
- 時間帯や動きと関係なく痛む
- 胸背部の痛み
- 悪性腫瘍、ステロイド治療をしている
- 栄養不良、体重減少
- 広範囲の神経症状(しびれ、痛み、脱力、排尿排便感覚の異常)
- 背骨の形が変わって背中がまっすぐに出来ない
- 発熱
その他、二週間たっても全く良くならない、頻繁に繰り返す、などの場合は早めに医師の診察を受けた方が良いと思います。
先に挙げた注意すべき腰痛の特徴がある場合は特に病院を受診し精査することが大切です。
病院へ行くと、医師の判断によって投薬や貼付薬、ブロック注射、リハビリ等による治療をしていただけると思います。
急性腰痛の鍼灸整体治療
炎症が強い時期や患部に触れるだけで痛い場合、患部に強い刺激は与えられませんので、刺激の少ない施術を行います。
手の甲などのツボに鍼を刺したまま腰を動かす運動鍼(手に刺激が入ることで腰の痛みを感じにくくなります)、患部に刺鍼が可能であればマイクロカレント(物理療法機器について参照)による鍼通電療法、周囲の筋肉に低周波を用い内因性オピオイドの放出や下行性疼痛抑制系の賦活、DNIC(鍼について参照)、による鎮痛を目的とした施術を行います。
その他、首、肩、脇の下、腹部、臀部、下肢、など個人差がありますが、痛みと関連していると考えられる部位の施術(これで痛みが軽減する場合は多いです)を行うことで痛みの改善を狙います。
その他全身の施術を行うことで血行が良くなり痛みが緩和されます。
急性腰痛になった時のセルフケア
まずぎっくり腰をしてしまったら、一番楽な姿勢を探して落ち着き、ゆっくり呼吸をします。
落ち着いて何とか動けるようであれば症状を確認し、痛みや炎症の強さ、発症原因によっては病院を受診するか薬局などで相談をしてください。
特に炎症や痛みが強い最初の2、3日は無理をして動く必要はありませんので、楽な姿勢で過ごすことをお勧めします。
基本的に患部が熱く炎症状態であれば最初の2~3日はアイシング(※1)し、熱感がひいてきたら温めてあげると楽に感じると思いますが、冷やしたり温めたりして楽になる感じがなければ無理にしなくてよいと思います。
冷やし方:
ビニール袋に氷と少量の水を入れて少し混ぜ、患部に当てます。最初は冷たいと感じますが、だんだんそれが痛い様な感じになり、やがて感覚がマヒしてきます。だいたい時間にして20分ほどです。患部が熱いうちは、4~5時間に一回ほど行ってください。また、身体全体がどうしても冷えてしまう場合は無理に冷やさない方が良いです。
急性腰痛は安静にし過ぎるより動けるなら動いた方が治りが早いという研究がありますが、炎症が強いうちは患部に痛みを感じるような運動を避け安静にし、首や肩、肩甲骨回り、足首や動かせたら股関節など離れた部位の運動をすることで痛みを抑制する方がよいです。
寝るときは横向きで痛い方を上にして上の手と足は大きめのクッションの上に乗せ、少し腰を丸めると楽だという方が多いですが、自分が一番楽な姿勢を探すと良いです。
仰向けの場合はひざ下にクッションを入れると楽な場合が多いです。
せきやくしゃみをする時は、両手を壁や太ももについて、衝撃で急激に身体が丸まり、腹圧で腰に負担がかかるのを防いでください。
腰はひねりに弱いです。車の乗り降りや、靴の着脱時は、身体をひねりながら前かがみになったり反ることに注意し、上半身と下半身を同じ向きにして動く方が良いです。
しゃがむときもひねりに気を付けて、骨盤から背骨はまっすぐのまま、しっかりと足首、膝、股関節を曲げてください。
徐々に痛みがひいてきて動けるようになったら、なるべく普通に日常生活を送ります。
不活動性疼痛といって過度な不動は中枢性感作を引き起こし痛みの慢性化に繋がりますので、痛みのない範囲で患部を動かすことも必要です。
腰痛診療ガイドライン2012のなかでは、腰痛を発症した方の73%が12か月以内に腰痛を再発する、また62%が腰痛を有すると報告されており、これには腰やその他の神経筋バランス、脳や神経の変化が関係していると考えられますが、一度腰痛を発症した場合は慢性化を防ぐことや再発予防も大切になってきます。
※1アイシングの効果について:
現段階ではアイシングを急性腰痛に行うべきかどうかというのははっきりした検証はされていません。動物実験において、重度の筋損傷(組織の20%以上、肉離れでいうとⅡ度)に対しては筋肉の再生を遅らせるという報告があり、普段のスポーツで起きるような軽微な(数~10%、肉離れでいうとⅠ~Ⅱ度)損傷の場合には筋再生が促進されたという報告があります。アイシングを行うことで筋損傷の再生にどのような影響を与えるかは、損傷度合いにより変化するかもしれないということは言えるようです。主観的にはぎっくり腰の筋損傷を動物実験における筋損傷の度合いと重ねると軽微な方に入ると思いますので、急性期のアイシングは効果的と感じますが、はっきりしたことはわかっていません。
※コルセットについては腰痛診療ガイドライン2019の中で、疼痛軽減、治癒の促進、再発防止効果が高まるという効果があるとはされておりません。個人的には急性期は骨盤を安定させることでの安心、脊柱の安定感や、圧迫により痛みを感じにくくなる可能性や、痛みを感じ過ぎることによる脳の恐怖心や感受性の増加を防ぐため、必要な短期間使うことは良いと思います。
長く使っている場合、筋力低下はしないとされてはいますが、血圧、皮膚や筋肉に何らかの影響を与えるという研究がありますので、徐々に外していくことをお勧めします。
ただし産前産後の腰痛(仙腸関節痛、恥骨部痛、尿失禁など)の場合には、骨盤支持ベルト(トコちゃんベルトなど)が有用であるという研究が多く、これはした方がいいと思います。