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慢性腰痛とは?
腰に痛みを感じてから3か月または6か月以上経過したもの,また通常の治癒期間を超えて持続する痛みとされます。
その他、明らかな感情的苦痛がある、日常生活に支障がある、という定義もあります。
慢性腰痛の原因
以前腰痛の約8割は原因不明という話がありましたが、最近の研究では腰痛の原因の78%は特定できるという報告もあります。
器質的な原因が画像などで見つからない腰痛の病態(超音波検査などで見つけられるものもあります)としては、筋筋膜性疼痛、椎間関節性腰痛、椎間板性腰痛、仙腸関節痛、などの組織に原因があるものや、抑うつ、ストレス、情緒、社会的や心理的な要因(これらはイエローフラッグサインともいわれる)、動作恐怖症や、不眠、神経の変化(中枢性感作、末梢性感作)が原因となり、発生、悪化、治りづらくなっている状態のもの、があると言われています。
不眠や心理的なものの場合、睡眠外来、心療内科などでの診察やカウンセリングが重要と考えますが、鍼灸整体や運動することも効果的な場合があります。
動作恐怖症や神経の変化の場合は、脳の機能を変えることが治療になります。施術により痛みが軽減して行動できるようになることも良いですし、痛みが出ずに運動することが出来た、という経験が変化した神経の反応を抑えてくれますので、認知行動療法や運動療法が重要です。
筋肉疲労の場合、その原因は、長時間同じ姿勢でいること、不良姿勢による動作、仕事などで同じ動作の繰り返し、運動不足などで疲労の蓄積があることが多く、日常生活が原因と言えますので、コンディショニングや姿勢、神経筋バランス、運動効率を変えていく運動療法が大切です。
また、腰痛が慢性化してしまう要因として、「また痛くなるかもしれない」というマイナス思考、腰痛の既往、肥満、喫煙、加齢、うつ、栄養不足、認知機能障害、交通事故による発症、等も言われています。
慢性腰痛改善に必要なこと
圧迫骨折や脊柱疾患、神経、内臓循環器系疾患の関与が疑われる場合(急性腰痛、レッドフラッグサイン参照)は特にですが、まずは病院で診察を受けることが大切です。
私が今まで経験したもので内臓が原因(婦人科系疾患、尿管結石、肝臓がん、胆のう疾患、胃腸系疾患)であったケースや脊柱に器質的な変化があるもの等もあり、症状の改善具合や出現するタイミングなどが普通の腰痛と異なるケースもありましたが、普通の腰痛のような方もいらっしゃいましたので、まずは腰痛について病院でしっかり検査をしてもらうべきと考えています。
病院では保険による消炎鎮痛剤の処方や物理療法、注射や手術、理学療法士によるリハビリなどの治療をしてもらえます。
そして原因がはっきりせず(原因が分かっているとしても)なかなか改善しない場合には、運動、鍼灸整体による身体のケア、精神的ケア、を行ってみるのが良いと考えています。
その際にまずご自身で対策する場合、何でもいいので運動することが慢性腰痛にとても良い(運動療法について参照)です。
慢性疼痛ガイドラインでは、有酸素運動、筋トレ、ストレッチ、すべてのエビデンスレベル、推奨レベルが高くなっています。
ただ慢性腰痛の方の場合、最初は腰や骨盤、背骨の感覚が鈍く、力が入り過ぎてしまったり、やりすぎたり、やり方によっては逆に腰に負担をかけてしまい痛みが悪化したり、腰を動かすことの怖さが増してしまう場合もあります。
これには慢性疼痛の方の脳機能の変化が影響している場合もありますので、運動しているのに良くならない場合は施術者にお尋ねください。
痛みがある方は、最初は患部ではないところから行い、患部は物足りないくらいの負荷で、さらに痛みが出ない範囲で出来た、という経験を積むことが大切です。
また鍼についてで触れましたが、慢性痛がある方は脳の鎮痛機能が低下していると言われています。
その機能の賦活に鍼灸整体、運動療法は適しています。
慢性腰痛は放っておいても良いのか?
一次的な腰痛でしたらしばらく経つと自然治癒することもありますが、慢性化している場合は長期間腰の組織に負担がかかっていることがあり、徐々にその負担が筋肉から関節、骨、神経という深い部分の変化に繋がり、ますます組織の回復が難しくなり、不可逆的な変化(元に戻らない)が起きてしまう場合もあります。
また慢性化することで、脳の痛みに対する感受性の変化、精神的ストレスの増加による疾病、生産性の減少、等が起こると考えられていますので出来るだけ早期に改善する方が良いと考えています。
慢性腰痛は鍼灸整体で良くなるのか?
重度の脊柱疾患や内臓疾患など器質的にはっきりした原因がない腰痛であれば、施術による改善が期待できると考えています。
日本の慢性疼痛ガイドライン2021において鍼灸は慢性疼痛に有用とされており、海外では鍼灸を推奨している国もあり、保険適応にしている国もあります。(鍼灸の適応と研究、をご参照下さい)
同じく慢性疼痛ガイドライン2021において、運動療法を行うことが推奨度1で鍼灸(推奨度2弱)よりも推奨されております。
実感として、施術をしていくと症状改善していくことがほとんどですが、症状が出てからの期間が長く重症で普段の負担も大きい方ほど、良くなるまでに長い期間が必要になることが多いです。
そのため最初のうちは痛みが取り切れない場合も多いですし、疲労の蓄積による再発を防ぐため、ある程度短い間隔で施術を重ねること(個人差がありますが、ひどい方ですと三日後から七日後までに二回目の施術を行うと良いと思います)や、生活習慣に原因があればそれを改善することが大切です。
また、ほとんどの慢性腰痛の方には運動することが大切と考えています、動かさないとなかなか良くなりません。